オープニング・ストーリー

南ヶ丘小学校始業式

4年生になった颯太は、やや緊張した面持ちで登校した。 颯太が通う小学校は南ヶ丘小学校という私立の小学校。 閑静な住宅街の高台に位置するこの小学校はごくごく普通の小学校。 特別な進学校という訳ではないし、スポーツにものすごく力を入れているという訳でもない。 そんな各学年4クラスのありふれた小学校ではあるが評判は上々だ。 颯太が学校につくと、校舎の入り口には朝早くにもかかわらず人だかりができている。どうやら新しいクラスが発表されているようだ。 クラス分けも重要だが、この南ヶ丘小学校の全生徒にとって、これからの1年間の命運を大きく左右する極めて重要な事項が別であった。 それはこの後行われる始業式で発表がされる。

「担任の先生は誰か??」

これこそが全生徒にとってクラス分け以上に大切な事項だ。 そこそこの規模を誇るこの南ヶ丘小学校には様々なタイプの先生がいる。 優しい先生、厳しい先生、友達のように接することのできる先生、口うるさい先生、融通の利く先生、何かと細かい先生などなど多種多様である。 しかし、生徒にとってひとつだけ非常に脅威となるタイプの先生がいる。 ごくごく普通のこの学校で唯一、他と違うところがあるとすれば通常はいないこのタイプの先生がいることに他ならない。 どんなタイプの先生かというとそれは、「叩く先生」だ。

内海菜緒、澄川あさみ、水無瀬沙織

この学校の生徒でこの3人の先生の名前を知らない生徒はいない。 まさにこの3人こそが「叩く先生」だからだ。

そもそも叩くなんてことが許されるのかという話だが、不思議なことにこの3人に限っては、なぜか一切問題視されない。その理由は諸説あるが、学級崩壊などという言葉があるくらい深刻化している教育現場を立て直すため、国が検討している教育改革の一つのモデルケースが彼女達であるという説に始まり、強力な後ろ盾があるために教育員会から特例扱いとされている説、などなど後を絶たないが答えは明らかではない。

彼女達が担当するクラスに学級崩壊などと言う言葉は存在しない。それどころか生徒は1年で見違えるほど成長する。成績が良くなるのはもちろんだが、特筆すべきは生活態度が軒並み向上することだ。1年後には別人のように成長したと母親達は皆口を揃える。 その結果、母親達の彼女達への信頼は揺るぎないものとなり、ぜひ自分の子を受け持ってほしいという嘆願書を学校に提出する母親すらいるくらいだ。

父親達に至っては、彼女達のそのルックスとモデルも真っ青のスタイルに秒殺され、年に何度かある保護者面談には母親に代わって父親が殺到するというシュールな光景が見られる。 肝心の実際に彼女達のクラスで1年を過ごした生徒達の評価はどうかというとこちらも実は申し分ない。 厳しい一面こそあるが、生徒達とのコミュニケーションを重要視する指導方針とその人柄は、生徒達全員の心を見事なまでにしっかりと掴み、3学期の終業式では彼女達と別れるのが嫌で泣き出す生徒もいるくらいだ。 しかし、教師として圧倒的な評価を得ている彼女達を妬み、その存在を面白く思っていない教師がいることもまた事実だった。

そんな彼女達のうち誰かが担任となれば、大きな成長と充実した1年が保証されるがその一方で代償も安くはない。 彼女達と過ごす1年は、決して気の抜けないハードな毎日となるだろう。楽しい思い出もたくさんできるがそれと同じくらい、もしかしたらそれ以上の苦労と涙を、人によっては流すことにもなるだろう。 なぜなら彼女達の生徒への指導は決して甘いものではない さらに3人ともその外見からは想像できないくらい、怒ったときは怖いらしい。 去年1年、彼女達が担当したクラスの多くの生徒が彼女達に叱られ、お尻が真っ赤になるまで叩かれ、腫れたお尻をさすりながら多くの涙を流すことは日常茶飯事であったこともまた事実である。 この結果、成長を求めイバラの道を進む覚悟が生徒達にあるかというとそうではなく、彼女達が担任になるのは避けたいというのが生徒達の本音であった。 いよいよ始業式が始まった。ついに審判の時だ・・・

終業式が終わると各クラスの教室では、担任の先生との顔合わせが行われていた。 4年生の各教室では、それぞれの担任の先生達のあいさつが始まっていた。 自己紹介に始まり、今後1年間の抱負などを話すときの彼女達は、笑顔を絶やさず、時には笑いも取りながら、終始穏やかな口調だった。 当初はガチガチの緊張感が蔓延していた教室の雰囲気もだいぶ和らいできたころ、先生達のあいさつはこの一言で締めくくられた。

「明日からもしもみんなが悪いことをしたら、その時はお尻を叩くからね。お尻叩きって、とっても痛いのよ。」

4年1組担任 内海菜緒
4年2組担任 澄川あさみ
4年3組担任 水無瀬沙織
4年4組担任 滝澤真由美

彼女達と1年を過ごす南ヶ丘小学校4年生の生徒達の命運はいかに・・・

颯太は一つの決断をした。 この1年を無事に乗り切るには4年生全員の連携が必要だ。そのためには、個々の情報を集約し共有する仕組みを構築しなければならない。 4年生の生徒のみが見られる専用のサイトを作ろう。 どこに作ろうか??? そうだ、南ヶ丘小学校のサーバに侵入し、秘密のリンクを張ろう。もちろん先生達に分からないように・・・

作者あいさつ

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