水無瀬沙織の出勤

AM?:??

「沙織ッ、今日という今日は許さないわよ!覚悟しなさい!」

「真理先生、ごめんなさい!!お願い、許して!もうしないからッ!」

5年生、6年生のときの担任の先生は怒るとものすごく怖くて、当時結構なお転婆娘だった私はよく叱られていました。

 私達が先生に叱られるときは、いつもお尻を叩かれました。 それも教室のみんなの見ている前で、先生の脇に抱えられ、ビシビシと叩かれるのです。 いつもは優しい先生なのですが、このときばかりはものすごい迫力で、教室内は一気に静まり返ります。そんな中聞こえるのは、私のお尻を叩く大きな音だけです。 クラスメイトの見ている前でお尻を叩かれるのですごく恥ずかしいですし、お尻叩きもすごく痛いので、このときばかりはいつも泣いていました。 早く許してほしい一心で必死で謝るのですが、どんなに謝ってもなかなか許してもらえず、ようやくお仕置きが終わって席に戻るとお尻が痛くて椅子に座るのも辛く、 ボロボロと泣いていました。

 とはいえ、これで済めばまだましな方でもっと悪いことをしたときは、職員室に連れていかれ、そこで先生の膝の上に乗せられて裸のお尻が真っ赤になるまで叩かれました。 こうなるともう大変です。痛くて痛くてたまらなく、声がかれるまで、いつも泣き喚いていました。

 こんな風だと私が泣き虫だったと思われるかもしれませんが、私だけでなく叩かれた子はみんな泣いていました。 5年生の時点で小学校内で一番背が高く、意地悪な6年生の男子でさえ、ちっとも怖くありませんでしたが、先生のお尻叩きだけは怖くてたまりませんでした。 そんなとっても厳しい先生でしたが、悪いことさえしなければすごく優しくて、みんなからもとても慕われていた大好きな先生でした。 また、バレーボール部の顧問もしていたので、すごくお世話になり、私が教師になるまでの間、よく相談にのってもらいました。

AM?:??

 小学校を卒業し、その後中学も卒業し高校生になると仕事で家を空けがちな両親に代わって当時まだ小学生だった弟の面倒を見る機会が増えました。 なかなか言うことを聞いてくれない弟へのお仕置きとして、お尻を叩き始めるのにそれほど時間はかかりませんでした。 高校生のときにはもう今と同じ身長だったので姉弟というよりは親子でした。 大嫌いだったお尻叩きを今度は自分がすることになるとは正直想像しておらず初めてのときはなんだか複雑な気分でした。 その一方で聞き分けのない子を躾けるためにこれほど効果的なものは他にはないことも自身の経験から分かっていたのでこの決断はある意味必然でした。

 初めて弟のお尻を叩いた時のことはよく覚えています。言うことを聞かなかった罰として1週間、家でゲームをすることを禁止したのですが、 我慢ができなかったようで、私が家にいないときにこっそりとやっていたようです。 ちょうどその日も、いつもなら部活の練習で家に帰るのは夜になってからなのですが、たまたま早く帰宅してみると・・・

 制服姿のまま、リビングのカーペットの上に正座し、弟を膝の上に乗せました。もちろん弟は抵抗していましたが、小学生と高校生では勝負にならず、すぐに私の膝の上に、 小さなお尻が無防備に晒されました。 叩かれたことこそ何度もありましたが、お尻を叩くのは初めてだったのでどのくらいの強さで叩けばよいのか、わかりませんでしたが、 反省の態度のない弟に苛立っていたこともあり、手を高く振り上げ、思い切りに近い強さで叩いてしまったことを覚えています。 バレーボールをやっていてそれなりに力もあったので、相当痛かったらしく、弟は泣き喚いていました。 そんな弟の姿と小学生のときの自分とが重なり、叩くのを躊躇してしまったことを覚えています。 結局、初めてのお尻叩きは10回でした。 そういえば、先生にお尻を叩かれるときは10回が多かった気がします。 もっと悪いことをすれば、20回、30回と叩かれたこともありましたが・・・ 先生はよく口癖で、「今度やったらお尻10発よ。」といつも言っていました。 初めてのお尻叩きは力加減が分からなかったせいもあって、相当キツく叩いてしまいました。 その結果、しばらくの間、弟が別人のように大人しくなってしまいました。

 自分自身も先生にお尻を叩いて躾けられたので、同じように弟を躾けたいとは思っていましたが、色々と迷いもあり、 よく先生に相談にのってもらいました。 事情を話すと快く相談にのってくれたことは本当に感謝しています。 はじめてお尻を叩いた時に力加減が分からず、かなりの力で叩いてしまったことを話したら、やり過ぎだと叱られました。。。 その後お尻の叩き方みたいなものも、教えてもらいました。 このときから、先生のような教師になりたいという思いが芽生え始めました。

AM7:30

  ふと目を覚まし、時計を見るとすでに7時30分を回っていました。 急いで飛び起き、着替えると、化粧もせずに家を飛び出しました。 また寝坊です。。。 アラームを無意識のうちに止めて二度寝をしてしまったようです。。。 教師が寝坊して遅刻なんてしようものなら、生徒は誰も私の言うことなんて聞いてくれなくなってしまいます。 全速力で走った結果、なんとかぎりぎり電車に間に合いました。 この時間の電車に乗れば始業時間の8時15分にはもう間に合う・・・ と言う訳ではありません。。。 電車を降りてからまた学校まで全力で走って間に合うか間に合わないかといったところです。 幸い、今までこの電車に乗って遅刻したことはまだありませんが、ホントにギリギリなので菜緒先生あたりからは チクリと言われます。校舎に入って職員室に行くまでの廊下も走らないと間に合わないので生徒の目がかなり気になります。 とはいえ、遅刻するよりかはマシなので、駅に着くまでに息を整えます。

今朝は、久しぶりに昔の夢を見ました。 小学生の頃の夢と高校生の頃の夢。 懐かしいなぁ。 先生とも最近なかなか会えていないので久しぶりに連絡してみようかな。 弟の章人はちゃんと大学に行っているのでしょうか?? 最近アルバイトに夢中みたいなので定期的にくぎを刺しておかないと・・・ 無事大学を卒業さえしてくれればようやく肩の荷が下ります。それまでは、姉としてやるべきことはきっちりするつもりです。 流石に昔のようなことはないとは思いますが、絶対ないとも言い切れませんね。 章人が小学生の頃はかなり厳しくしましたが、その甲斐もあってか、無事に志望する大学に入学できました。 数えきれないくらいお尻を叩いたのでそのせいか、私が彼のお尻を何かのはずみで軽く叩くだけでも、物凄く怒ります。。 ちょっと厳しくし過ぎちゃったのかもしれませんね。

AM8:05

  真理先生のような教師になる。 これが私の望む進路でした。 念願の教師となった今では生徒とのコミュニケーションを重視し、生徒と良い関係を築くという真理先生の教育方針を取り入れています。 それだけでなく、悪いことをした子のお尻を叩くというところまで一緒です。 自分自身の経験と弟に対しても効果覿面だったので迷うことなく取り入れましたが、やはり効果は抜群です。 中途半端では意味がないので、叩くときは心を鬼にして目一杯厳しくします。 小学生の時に先生にされたように、教室のみんなの前で脇に抱え、ビシビシと叩いています。 それでも足りないときは・・・ 職員室でたっぷりとお仕置きをするようにしています。 いつの間にか先生と同じように「お尻10発」が口癖になってしまいました。 昔はこの言葉が本当に怖くて嫌いでした。 どうやら私の生徒も同じようで、この言葉を聞くだけで生徒の顔色が変わるのであまり言わないようにはしたいのですが、 何かと叱られるようなことばかりしてくれるのでいっこうに減りません。

もう間もなく駅に着きます。 真理先生のような立派な教師に一日も早くなれるよう今日も頑張ろうと思います。 そのためにも絶対に遅刻はできません。 教師としての威厳を保つため全力疾走です! (終)

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